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Sさんの腰痛放浪記(11)最終回

まとめ
Sさんの腰痛放浪記は特別な症例ではありません。
腰痛人口2800万人といわれていますが、減るどころか増えるばかりです。
これだけ医療が発達してきているのに腰痛人口の少しくらいは減ってもよいはずです。
今回上奏された本邦初の腰痛ガイドラインは、これから未来の腰痛指針です。
整形外科の治療だけが特別高度な診療(レントゲン、MRI検査)を行っていて、
私たち柔整が医業類似行為という立場から法律的に医療から離れた立場に置かれてきました。
しかし今後は柔整診療こそ、腰痛治療の中心となっていくべき立場にあると考えられます。
患者さんにいつも寄り添い、
お話をよく聞き励まし、温か味のある手技を使って治療し、
患者さんに信頼、安心、満足を感じてもらえる柔整施術こそ、これから求められる医療です。
非特異性腰痛は私たち柔整が取り組む病態です。
レントゲンやMRIは必要が無いばかりか、
画像診断こそ治らない原因
とまで考えられてきているのですから。
医療サイドが変われば、腰痛難民も減少していくはずです。
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Sさんの腰痛放浪記(10)

⑤⑥の補足説明
前述の新聞に掲載された腰痛ガイドラインの大見出しは「腰痛にストレス関与」です。
“非特異的腰痛はいわゆるぎっくり腰やストレスが原因となっているものを含み、全体の85%を占めるという研究がある。
非特異的腰痛は職場での人間関係や仕事量の多さ、仕事上の不満、うつ状態など心理社会的要因が関与していると指摘、ストレスを軽減させるためにものの考え方を変える認知行動療法などの精神医学療法が有効だとした”今までの腰痛の考えは、人の体を骨の集まり肉のかたまりとしてみた生物構造学的腰痛モデルでした。
しかし人は心を持った人間として生きているのだから、その人を取りまく環境までを考慮して腰痛を考えましょうという心理社会的腰痛モデルとして腰痛をとらえていく必要があります。
私たちを取り巻く社会環境は複雑さを増し、生きにくいストレス社会と変わってきています。
紹介した新聞の内容にも精神医学療法が有効となり、整形外科と心療内科が一緒に腰痛を診る時代にきています。
実際にそのような診療体制を作って効果を上げている診療機関も多くなっています。
複雑化している社会環境から受けるストレスは避けようがありません。
しかし今の時代は楽しみも多様化して、いろいろな趣味やスポーツを楽しむことができる時代です。
ストレスと楽しみのバランスがとれた状態が理想です。
何も心療内科やカウンセリングを受けることもありません。
柔整は毎日患者さんのお話をよく聞いてあげていますから。
Sさんはゴルフが大好きでした。
悪化するヘルニアのためゴルフを封印してしまったことによりストレス解消をできなくなって、ますます症状を悪化させていたのです。
腰部の可動域が増すことでゴルフも再開し、ストレスも解消していったのです。
ゴルフができたことにより、自信にもつながり積極的に行動するようになっていき悪循環と断ち切り、好循環の流れに入って腰痛から解放されたのです。
今ではたまに腰痛が出ても予後を不安に感じることがなくなり、痛みがあってもできるだけ日常生活を続けることで、仕事を休むことはなくなりました。
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Sさんの腰痛放浪記(9)

良い姿勢のメリット
姿勢のアライアメントに関して、骨は体を支える仕事をし、筋肉は骨を動かす仕事をしています。
つまるところ筋肉に支える仕事をさせていることが問題です。
筋肉は伸ばしたり曲げたりが仕事です。
じっとして緊張し続けることは苦手です。
不良姿勢は筋肉に負荷をかけ続けてしまうのです。
だから筋肉が悲鳴を上げてしまうのです。
筋肉のアプローチとしての、患者さんへの姿勢指導は腰痛肩こりなどの運動器疾患の大切な治療法の一つです。
正しい姿勢を身に付ける
姿勢は「姿」の「勢い」と書くように、人間の内面を映し出す鏡です。
姿勢と心は密接に関係していて、元気でやる気に満ちているときは背筋が伸びて明るい表情になります。
しかし、悩んでいる時や失敗してしまった時などは、間違いなく肩が落ちて背中を丸くしたうなだれた姿勢になります。
正しい姿勢は集中力や意欲の向上につながり、物事へ臨む姿勢も変わります。
筋肉の血流を改善させ、呼吸も安定させます。また姿勢を正すことにより声の通りもよくなり、はつらつとした印象を周囲に与え、人から好印象を持たれます。
Sさんも姿勢が良くなったことにより、奥さん任せにしていた家事や庭の手入れなども積極的にやるようになりました。
おっくうがっていた日常生活態度にも好変化をもたらしました。
心身一如です。
心身相関的症状の因果関係が、絡まった糸をほぐすように、ここまでいい条件が揃ってくると腰痛も治って当然という状況です。
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Sさんの腰痛放浪記(8)

良い姿勢とは
最近、整形外科でも姿勢指導するようです。
NHK、Eテレ「今日の健康」の腰痛特集には理学療法士の先生が登場されて姿勢指導をしています。
巷でも姿勢教室などのセミナーが受講生を集めています。
ようやく世間一般に良い姿勢は大切ですということが浸透してきているようです。
そもそも日本人は昔から姿勢に対するこだわりがありました。私は現在58歳ですが、子供の頃は親父にうるさく姿勢を注意されたものです。
学校でもそうでした。
先生から姿勢を正してという言葉をしょっちゅう聞いた覚えがあります。
年配の先生方なら記憶されていると思います。
今では学校では姿勢に対する注意は皆無です。
学校から帰ればゲームをやるにしろ勉強をやるにしろ、背中を丸くして熱中しています。
今や姿勢を正すことを強く指導するところは、書道や茶道、華道、武道など日本の古くからある芸事ぐらいでしょうか。
そもそも今どきの家は畳の部屋はほとんどなく、洋式のフローリングの部屋ばかりです。
正座をする部屋もありません。
正座は良い姿勢を獲得するもっとと手っ取り早い方法です。
あぐらで座っている姿勢を思い浮かべてみてください。

横から見ると脊柱全体がCの字型になり不良姿勢の典型的な姿勢です。
骨盤は後傾し腰椎の前彎は消失します。
他方、正座は骨盤を起こし(前傾)腰椎は前彎し胸椎は後彎、頸椎は前彎する(横から見るとS字が2つ連なった)理想の良い姿勢になります。
ご老人の中には整形外科で、正座は膝によくないから正座をしないように指導を受けて、正座をすると膝が悪くなるといった思い違いをされている方が多く見受けられます。
正座をすればするほど下肢の軸は揃ってきます。
下腿の外旋が正座により正され、もちろん良い姿勢も身に付きますから、大腿骨の頸体角も年齢に関係なくなり、膝痛からも解放されます。
ぜひ患者さんに姿勢指導してみてください。正座もお薦めください。
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Sさんの腰痛放浪記(7)

③④の補足説明
最近、病院で腰痛のリハビリ体操に、マケンジーエクササイズを取り入れている医療機関が多くなってきています。
私の弟はリハビリ病院の理学療法士をしているのですが、マッケンジー体操を指導しているそうです。
ロビン・マッケンジーはニュージーランドの理学療法師で、国際マッケンジー協会初代会長として活躍され、世界中にこのマッケンジー法を広めました。
20年位前にカイロプラクティックの団体が日本に招聘して初来日しています。
話は少し余談になりますが、この時の講習会の通訳が本新聞の広告をお願いしている仲井康二先生でした。カイロの団体が招聘した関係上、このマッケンジー法はカイロプラクターに広まっていきました。
ちなみに、仲井先生の通年シリーズセミナーでは腰痛治療の有効な治療法として、マッケンジー法を必ず教授しています。
医師の間にも広がり国際マッケンジー協会日本支部もでき、整形外科医では穴吹弘毅先生が平成18年にカイロプラクティック徒手医学会で「マッケンジー法を用いた腰椎椎間板ヘルニアの効果」を発表し、その年の最優秀学会賞を受賞しています。
話は横道にそれました。戻します。
マッケンジー体操で獲得した良い姿勢
Sさんは腹這い反り起き体操を自宅でも日課にして繰り返し行いました。
結果、腰椎の5節の前彎が少しずつ回復したのです。以前はなるべく腰を反らせないようにしてきたため腰背筋が常に緊張を強いられ、腰部の後屈はほとんどできない状態でした。
マッケンジー理論が出てくるまでは、長年ウィリアム理論が当たり前で、後屈より前屈運動を指導していました。
腰が痛いときは背中を丸くして横になって休んでいてくださいと説明を受けていたので無理もありません。皆さんも未だにこのような説明を患者さんにされている先生も多いと思います。
理学療法の神様と呼ばれたロビン・マッケンジーが「カイロプラクターやオステオパスが貢献してきたことは、唯一人の脊柱を後方から前方に向けて押してきたことだけだ」と前述の仲井先生に多少皮肉を込めた言葉でいったそうです。
しかし、

仲井先生はそれで脊柱の湾曲の大きさを調整してきたらとしたら、人間に対してすばらしい貢献をしてきたのだと話されていました。
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